このページでは、STEM-DSをベースに実施されたデータサイエンスの実践授業について紹介しています。 実施の様子、インタビュー記事はこちらをご覧ください。 STEM-DSのコンテンツ利用はこちらのフォームから申請をお願いします。
対象 | 小学校6年生1クラス(30名) |
実践した科目 | 総合的な学習の時間 |
ねらい |
データサイエンス教材STEM-DSを活用して,問題解決のプロセスを使得ことで,フードバンクのフードロス問題に対する解決策を提案することができるようになる |
授業回数 | プログラム |
備考 |
1 |
データサイエンティストの仕事って何? | STEM-DSパート1のスライド資料を活用 |
2 |
フードバンクの職業体験とインタビュー |
iPadを活用 |
3 |
インタビュー以外のデータ収集とグラフ作成 | |
4 |
分析した情報の整理と予想 | |
5 |
解決方法の発案 | |
6 |
プレゼンテーション資料の作成 |
Googleスライドを用いたスライド資料の作成 |
7 |
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8 |
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9 |
スライド資料によるプレゼンテーション | 研究授業での班ごとのプレゼン |
データサイエンティストの仕事がどのようなものなのかを知ろう
最初は、「データサイエンティストって言われても難しくて全然わからない」というような反応だったが、徐々に具体的な仕事内容がわかったように伺えた。
スライド形式だけの授業だとあまりウケが良くなさそうなので、第2時からはiPadでのアプリを用いた授業で進めようと思った。
アプリ内でフードバンクの職業体験を行い、フードバンクでは何が問題なのかを明らかにすることができるようになる
STEM-DSのパート2をもとに授業を進行する。3、4人グループで1班となり、班で進度を揃えて進めるようにした。
アプリ内でインタビューを行い、必要な箇所にメモをして、インタビューデータをまとめた。その後、アプリ内でインタビュー情報をまとめることで、フードバンクで働く人たちがどのような問題意識を抱いているのかをまとめた。
使い慣れていたiPadを使っての授業ということで、第1時よりも興味を示していた。自由に学習させると一人でどんどん進んでしまうので注意が必要であった。
インタビューのほかにフードバンクから得られるデータを用いて、グラフを作成することができるようになる
STEM-DSのパート2をもとに授業を進行する。3、4人グループで1班となり、班で進度を揃えて進めるようにした。
比較したいグラフを班で決めて、グラフから何がわかるのかを記述した。
どのグラフを使えば問題点が指摘しやすいのかを話し合いながら考えることができていた。
インタビューデータとフードバンクから得られた情報を整理し、フードバンクの問題を発見することができるようになる
STEM-DSのパート2をもとに授業を進行する。3、4人グループで1班となり、班で進度を揃えて進めるようにした。
何が問題なのかをデータから考えることに苦労していたようだったが、スライド作成に向けて進めることができていた。
発見したフードバンクの課題の解決策を考え、スライド資料を作成することができるようになる
3,4人グループで1班となり、班で進度を揃えて進めるようにした。
(模擬的に)依頼人に解決策を発表するために、Googleスライドで以下を含む資料を作成した。
自分たちが考えた解決策を依頼人に伝えるためには、どのような点を工夫すれば良いのかを考えていた。また、内容だけでなく、前を見て話すなど、プレゼンテーションの方法も工夫していた。
フードバンクの課題の解決策を、依頼人にプレゼンテーションを行うことで提示することができるようになる。
3、4人グループで1班となり、作成したスライドをもとに、分担してプレゼンテーションを行った。
他の班の解決策も聞くことで、自分たちの班以外はどのように解決策を考えたのかを知った。
準備したスライドをもとに、模擬的な依頼人に対して解決策をプレゼンすることができていた。
今回のフードロスの題材だけではなく、保健室や給食などの身近な問題に対しても調べてみたいとの意見もあった。
本校では、STEAM教育を軸とした研究を進めており、これまでICT機器を活用した授業やプログラミング教育に熱心に取り組んできた。しかし研究を進めていく中で、とても楽しそうにプログラムを作っている児童がいても、自己満足で終わってしまい、それを誰かのために作成したり表現したりしようとする児童が少ないことが課題の一つとして見えてきた。
そこで、こども未来研究所に「STEM-DS」を紹介してもらい、依頼者のためにデータを活用して解決策を考えていく授業を展開していくことで、相手意識をもって課題に取り組む児童の姿を目指した。
初めは、タブレット端末を使って「データサイエンス」という新しい領域に挑戦できることに面白さを感じ、どの児童も意欲的に取り組んでいた。しかし、サクサクと自分たちでストーリーを進められるアプリシステムのため、考えを深めないまま先に進めて終わらせてしまう児童も多かった。
そこで、コンサルタントの仕事の進め方や「誰のために解決方法を考えているか」を何度も振り返り考えさせることで、次第に「フードバンクで働く人のために」という意識をもつ児童が増えていった。また、グループワークを多く取り入れたことで、多角的にデータを読み取ることができ、データサイエンスの面白さを味わうことができた児童も多かった。
最後の振り返りでは、「今度は地域の人の悩みを解決したい」「保健室の先生の悩みを知って、コンサルタントとして解決してみたい」という感想が多く出た。当初の目標であった『誰かのために』という相手意識をもって課題に取り組む姿の実現に繋がり、更にデータサイエンス教育という日本ではまだ新しい領域の授業実践を行うことができた。